Classico BLOG

第1回 なぜ聴診器は常にこのカタチなのか?

なぜ聴診器はこのカタチなのか?
2012年9月。当時、会社の設立からそろそろ5年目を迎えるにあたり、改めて自分たちの商品、存在意義、これからの方向性などいろいろとじっくり考える機会を作っていました。

そもそもクラシコは、僕が友人の医師の、「なぜ白衣はペラペラで同じような作業着しかないのか?」という不満から、スタイリッシュで自信を与える白衣をつくろうとはじまった会社です。
決して、ユニフォーム業界でナンバー1になろうという動機ではじめた会社ではありません。

そうであれば、白衣の次は介護市場だとか、一般のアパレルに展開するべきだという、たくさんの人からのアドバイス通りに会社を進めるのではなく、白衣以外でも、医療従事者や働く人の気持ちを高揚させたり、時間の質をあげられるような今までにない商品を作れたら、どんなにハッピーか、ということを真剣に考えはじめていたのです。

「僕らがつくるべきもの、それは、何だろう?」

ひらめきは、ある日突然訪れました。
たまたま何気なく見ていた医療ドラマ。医師役の俳優さんの白衣姿の首から下がる、「聴診器」。
「これだ!」と思ったのです。

僕らの無謀な挑戦は、そこから始まりました。

チャレンジしたのは、
「聴診器の200年革命」

まずは、聴診器のことを知るために、あらためてその歴史を調べてみました。
1816年にフランスのルネ・ラエンネックという医師が発明した聴診器、その誕生のきっかけって?

当時、医師は患者の胸に直接耳を当てて、心臓の鼓動を聞いていたそうです。ところがある日、ラエンネックの前に現れたのは若い女性患者。
若い女性の胸に直接触れるなどということは、破廉恥だという認識だった当時、困り果てたラエンネックは、筒状に丸めたノートを患者の胸に当て、もう一方に自分の耳を当てて鼓動を確認するという方法を思いつきました。

苦肉の策から生まれた方法でしたが、ことのほか鼓動がよく確認できたのです。
こうして彼は、専用ツールとしての開発に着手、木製の聴診器が誕生しました。

発明のドラマはいつも意外性に満ちていて、心を奮い立たせてくれます。
しかしながら、聴診器はその後、素材などは改良されながらも、基本概念としては200年間、あまり進歩をしていないということが分かりました。

誕生から200年経った今でも、聴診器は多くの医療従事者が一度は手にしたことがあり、専門によっては1日中、ほとんど毎日使い、身の回りにつねに置いておく道具です。
ラエンネックの「患者への敬意」から生まれた聴診器。

ならば、クラシコは「医療者への敬意」という付加価値をつけられないだろうか?
聴きやすさや使いやすさが本当にベストになのか?使っている人に幸福感を与えているだろうか?これこそクラシコが取り組むべきことだ。

思い立ったが吉日です。こうしてクラシコの聴診器プロジェクトは始まりました。
まずはチーム作りです。
僕らが組むべき相手、それは、一緒にお客さんの課題とミッションに向き合い

●しっかりとした技術ノウハウで、機能面をささえてくれる医療機器メーカー。

●そして、今までの医療界にない発想で機能を美しいデザインとして提案してくれる、プロダクト・デザイナー。

幸運にも僕らは、素晴らしいパートナーと出会うことができ、幸先のいいスタートを切ることができました。どんなパートナーと巡り合えたのか、そして、その後に始まった思いもよらない長期戦のドラマについては、次回以降にお伝えしたいと思います。

※明後日28日掲載分に続く。

次の記事:第2回 白衣メーカー、無謀にも聴診器をつくる。
前の記事:予告編 Classicoから、常識を超える聴診器。2/9登場。





開発秘話公開スケジュール:
1/21 予告編 Classicoから、常識を超える聴診器。2/9登場。
1/26 第1回 なぜ聴診器は常にこのカタチなのか?
1/28 第2回 白衣メーカー、無謀にも聴診器をつくる。
2/2   第3回 「誰にとってもマイ・聴診器に」のこだわりから生まれた美しいデザイン。
2/5   最終回 工場長のつぶやき。「俺、これ完成したら、自分用にひとつ欲しい」