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第3回「誰にとってもマイ・聴診器に」のこだわりから生まれた美しいデザイン

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「機能と素材をとことん追求した果てに、デザインの美しさが登場する」
プロダクト開発をするときに僕らがこだわっているブレないスタンスです。

今回、聴診器のデザインを担当してくれた吉冨さんもデザインの対象を深く掘り下げて分析し、
一度丸裸にすることで要素のひとつひとつを新たに見出し、検証をくりかえして再構築する、
という作業を極限まで追求してくれました。

道具のデザインは、ただ美しい、ただの表面的なデザインでは成立せず、機能や目的からやむを得ず生まれたもので形作られています。
今回の聴診器のデザインの過程もまさにそんなプロセスの連続だったのです。

コンパクトの追求で生まれた折りたたみ構造。そしてその”副産物”


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毎日、ポケットに入れて持ち歩くために求められた「コンパクト性」。
そのために真ん中のT字部分は折りたたみができる今までにない構造になったことは前回書きました。

この箇所はただ可動をすればいいというわけではなく、音の通り道でもあるため、音響をしっかり確保するという機能には妥協ができません。通常の聴診器にはない、「音の通り道に可動できる機構を入れる」ということは、ハイレベルの2つの課題を担わなくてはならないということです。

空気漏れを起すことなく、スムーズで気持ちのいい折りたたみ機能を実現する、それは果てしなく緻密な設計の試行錯誤だったのです。

 しかし、このデザインを作る中で、新しい副産物が生まれました。
この可動部分が聴診時にも可動することにより、前屈みになることがなく聴診ができてとても使いやすくなったという声がテスト時にユーザーからでてきたのです。一つのデザインが複数の問題を解決していく新しい事例になったのです。

誰がどんな使い方でも。新しいチェストピース


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先端のチェストピース部分もデザイナーの吉冨さんの苦労とこだわりがつまったデザインです。
一般的な聴診器の先端部でも、シングルタイプではエルゴノミクス(人間工学)に基づいたつまみやすいデザインは存在します。しかし、どれも指を固定して、使い方を指定するデザインになっているように感じます。

開発時にさまざまなドクターから使い方を見聞きし、気づいたのは、人によって聴診時の持ち方がさまざまということ。せっかくエルゴノミクスをもとにデザインしていてもその使い方通りに使わなければ全然使いやすものではなくなってしまのです。

今回クラシコの聴診器のシングルタイプのチェストピースでは、人によってさまざまな持ち方ができるフレキシブルなエルゴノミクスデザインを追求しました。

例えば、チェストピースの軸を優しく持って回すように聴診をすると、有機的でラウンドしている患者の身体にフィットしながら、手首を返すことなく指先の調整だけで聴診可能になります。
また手首関節の良肢位も考慮して、より使いやすい形状にデザインができあがりました。

さらに美しい表面の鏡面仕上げは、iPodの背面の鏡面を研磨したことで有名になった新潟三条の小林研業さんにお願いをし、その匠の技でなんとも滑らかで美しいチェストピースに仕上げて頂きました。

iPod背面を鏡面研磨した小林研業の小林一夫さん【誇るべき日本の技術】

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「毎日、1日中使う人のために」そして「個人ごとの使い方にフィットするために」。
ゼロから再構築した聴診器のゴールが、徐々に見えていったのです。



※明後日2月4日掲載分に続く。

次の記事:最終回 工場長のつぶやき。「俺、これ完成したら、自分用にひとつ欲しい」

前の記事:第2回 白衣メーカー、無謀にも聴診器をつくる。



開発秘話公開スケジュール:
1/21 予告編 Classicoから、常識を超える聴診器。2/9登場。
1/26 第1回 なぜ聴診器は常にこのカタチなのか?
1/28 第2回 白衣メーカー、無謀にも聴診器をつくる。
2/2   第3回 「誰にとってもマイ・聴診器に」のこだわりから生まれた美しいデザイン。
2/5   最終回 工場長のつぶやき。「俺、これ完成したら、自分用にひとつ欲しい」